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まず、線電流源からの放射界(1次界)を求め、
次に、円筒導体による散乱界(2次界)を円筒の境界条件などより決定する。
補助解(1次界)
軸上に置かれた線電流源からの放射界は、
放射条件とについての対称性を考慮して、
と表すことができる。
ここで、は波源の強さによって決まる定数である。
このときの磁界は、
と表される。
ここで、ベッセル関数の公式[III p.159(ii)]2.1
を利用している。
特に、の場合には式(A.9)より、
と表される。
のまわりで磁界
を積分すると
アンペアの公式より、
となる。
この関係式に上の磁界の近似式を代入して整理すると、
が得られる。
したがって、線電流源からの放射電界は
|
(2.4) |
と表すことができる。
線電流源が()にある場合には、座標を移動して、
と表すことができる。
ここで、ベッセル関数の加法定理[III p.218]2.2を用いると
と書き換えられるので、
|
(2.5) |
と表される。
円筒導体による散乱界
円筒導体による散乱界は波動方程式を満足し、
放射条件をも満たすので、
界のについての対称性を考慮して、
|
(2.6) |
と展開できる。
ここで、は展開係数であり、境界条件より決定する。
全電界は、円筒導体表面()で境界条件
をの値によらず満足する。
上の条件式に式(2.5),(2.6)を代入して、
整理すると、
が得られる。
すべてのについて上式が成立することから
が得られる。
したがって、
と表される。
ただし、
を意味する。
なお、式(2.5),(2.6)を個別に用いれば、
とも表すことができる。
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T.Kinoshita
平成15年6月18日