次へ: 直接波と反射波
上へ: 高周波近似
戻る: 高周波近似
目次
前章で求めた導体楔による回折界の高周波近似解を求める。
すなわち、波源、および、観測点が楔の先端より充分に遠い場合について
の界の近似式を求め、回折界の特性を検討する。
前章で求めたように楔による回折界は、
と表される。
ここで、
は波源である線電流源の座標(円筒座標系)であり、
は観測点の座標を表す。
また、
,
である。
いま、波源は充分に遠いとして、ベッセル関数の漸近展開式
(A.11)
を代入すると、
と表される。
三角関数の積和の公式
を用いると、上式は、
![\begin{displaymath}
E_z(\rho,\varphi )
\simeq
-\frac{\omega\mu}{4}I_0
\sqrt{...
...[f(\varphi -\varphi _0)-f(\varphi +\varphi _0)]
e^{-jk\rho_0}
\end{displaymath}](img457.png) |
(3.2) |
と表される。
ここで、
 |
(3.3) |
である。
楔の先端での入射界で規格化すると、式(2.12)と同様にして、
 |
(3.4) |
と表すことができる。
ベッセル関数を
と積分表示し、積分と総和の順序を交換すると、
と表される。
,
であるから、
のとき、
と変形できるから、
と書き換えられる。
上式は変数変換
の後、
 |
(3.5) |
と書き換えられる。
この積分で、被積分関数は分岐点を持たず、
,
、および、
,
で
指数関数的に
に収束する。
また、1位の極が実軸上に存在する。
以上より、積分路を図3.2(a)のように
変更することができる。
図 3.2:
積分路
|
の部分を
と変換すると、
積分は図3.2(b)に示す積分路に沿ったものに変更することができる。
よって、積分は、実軸上の極の回りの積分と、
虚軸と平行な
での積分に分けることができる。
式(3.5)の極は、
に存在し、
その留数は
であるので、この極の回りの積分は、
となり、その総和は、
となる。
また、虚軸と平行な積分路
に沿った積分は、
と表される。
したがって、式(3.5)は
と表される。
ただし、第1項の
は
 |
(3.8) |
の範囲での総和を意味する。
の積分は、
の場合に、停留値法を用いて近似することができる。
停留点は、
より、
であるので、
 |
(3.9) |
と近似できる。
Subsections
次へ: 直接波と反射波
上へ: 高周波近似
戻る: 高周波近似
目次
T.Kinoshita
平成15年6月18日