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目次
全体の電位分布は、あらかじめ与えられた電荷による直接界(1次界)と、
境界面上の誘導電荷、および、
電気的2重層によりつくられる2次界とに分けることができる。
境界面上に誘導される電荷、および、電気的2重層からの界は、
境界面を除いた空間ではラプラスの方程式を満足するので、
この方程式の解(固有関数)を用いて展開し、
境界面上での境界条件より展開係数を決定することができる。
[例3]
導体球と点電荷
再び、図1.1に示す問題を解く。
点電荷が座標の原点に置かれた場合の電位分布は、
と表されるので、
ここでは電位を
と展開することができる。
ここで、第1項は
に置かれた点電荷による電位(1次界)、
第2項は導体球による摂動項(2次界)を表す。
と表されることを利用して変形すると
電位は、
と表すことができる。
での境界条件(導体球表面)
より、
が得られる。
したがって、電位は
と表すことができる。
ここで、観測点を
と表し、
、
と表すと、上式は
と書き換えられるので、求める電位は
に置かれた点電荷
、
に置かれた等価的な点電荷
、
および、
原点に置かれた等価的な点電荷
による電位の和として表される。
T.Kinoshita
平成15年6月18日