どんな未来を創ろうか...

研究紹介

画像圧縮符号化方式の研究開発

画像圧縮の効果

 私たちがテレビやBlu-ray Disc (BD)で視聴している映像はHDTVまたはハイビジョンと呼ばれる高品質な映像です.そのデータ量は膨大なため,そのままネットワークで送ったりメモリに保存したりすることは困難です.そこで,画像の品質をなるべく落とさずにデータ量を減らす技術,すなわち画像圧縮符号化が必要になります.MPEGやJPEGはその代表的な方式です.最新の国際標準方式であるH.265を用いると,主観画質を落とすことなくデータ量を1/1000程度に削減することができます(右図).
 本研究室では,人が映像を視聴するときに注目しやすい部分の画質をなるべく維持しつつ全体のデータ量を減らす圧縮符号化について研究をしています.

パイパースペクトル画像

 また,「ハイパースペクトル画像」と呼ばれるデータ解析用画像を対象とした圧縮符号化についても研究を行っています.ハイパースペクトル画像とは,左図の例のように色(光)の成分を数十~百以上のバンドに分解して記録したもので,地表の状態,穀物の育成具合,食物の鮮度などを解析することができます.ハイパースペクトル画像の性質は通常の画像と大きく異なるため,その特徴を生かした圧縮符号化について研究を行っています.
 例えば,ハイパースペクトル画像はスペクトル方向の相関が強いため,動画像の時間方向と同じようにその相関を利用することでデータ量を減らすことができます.一方,動画像の時間方向には物体移動が生じますがハイパースペクトル画像のスペクトル方向には物体移動的な変化はなく,スペクトル強度が変化します.そのような特徴を生かした圧縮符号化方式を検討しています.


メディア処理を応用した障害者行動支援システムの研究開発

障害者行動支援システム

 近年,画像データの特徴を用いて画像内の物体を検出したり認識したりする研究が数多く行われています.また緯度・経度情報やSNSのようなソーシャルメディアを利用した研究も行われています.このような技術を応用することで,障害者を支援するシステムを開発していきます.
 右図は,車椅子利用者行動支援システムのイメージです.車椅子利用者(赤)は車椅子にスマートフォン等の情報端末を取り付け,移動中に静的障害物や道幅などを画像処理によって自動検出し位置情報等と共にクラウドに登録します.クラウドではそれらの情報を管理し,別の車椅子利用者(緑)に対してGPS等で特定した走行場所の情報を提供する(推奨ルート案内など)というものです.

 また,視覚障害者の行動を支援するものとして,ポスターやメニューのように画像と文字が混在するものから文字だけを認識して利用者に伝える研究や,カラオケを楽しんでもらうための「点字カラオケ」システムに関する調査研究なども行っています.


その他のメディア関連研究開発

 上に述べた研究テーマ以外に,人の顔画像から脈拍を検出する研究や,性格診断結果からカラオケ楽曲を推奨するシステムの研究なども行っています.学生が興味を持って進めたいというテーマには積極的に取り組んでいきます.