● イーサネット
Ø TCP/IPネットワークの物理的部分(データリンク層と物理層)のネットワークとして、様々な規格が存在する。イーサネット(Ethernet)はその中でも最もポピュラーな規格である。
Ø イーサネット以外にも、ATMやFDDIなどの規格もある。
Ø イーサネットは、更に幾つかの規格に分かれており、それぞれ速度、長さ、物理的形状・素材などにおいて違いがある。
Ø 10Base5
² 10Base5は初期のTCP/IPで最も普及していたネットワークであり、10Mbpsの通信速度である。
² 最長500mまでの、通称イエローケーブルと呼ばれる太い同軸ケーブルを用い、バス型に端末を接続していく。
² イエローケーブルにトランシーバと呼ばれる機器を取り付け、ここからトランシーバ/ダウンロード・ケーブルにより端末と接続する。
² イエローケーブル、トランシーバケーブル共に、若干太くて取り扱いが面倒である欠点がある。またトランシーバの接続も若干面倒である。
Ø 10Base2
² 10Mbpsで、最長200mのやや細い同軸ケーブルを用いるが、10Base5と違ってトランシーバがいらない。バス型で接続はするが、一本の長いケーブルを用いるのではなく、端末から端末まで程度のケーブルをつなぎ合わせて使用する。
² 10Base5より取り回しが楽だが、全長が短いこともあり、幹線ではなく、支線部分に利用されることが多かった。
Ø 10BaseT
² 現在で最も多く使われていると考えられるのは、この後継である100BaseTという規格である。10BaseTは10Mbpsの速度であるが、100BaseTは100Mbpsの速度である。
² ケーブルは電話線と似たような「より対線」を用いたUTP(非シールドより対線)を利用することが多く、コネクタ部(RJ45モジュラジャック)も小さく取り扱いがしやすい。
l UTPに対し、シールドしたSTPというケーブルもある。シールドされている分、対ノイズ性能ではUTPに勝るが、値段は高い。
l 100BaseTでは、カテゴリ5と呼ばれている規格(より厳しい規格)のケーブルを使用するが、最近ではより厳しい規格のエンハンスドカテゴリ5(Cat5e)などが多く利用されている。
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1000BaseT(ギガビット;1Gbps)の場合はカテゴリ6という規格のケーブルが必要となり、現時点では自作は難しい。
● ネットワーク接続機器
Ø 端末をネットワークに接続したり、ネットワークとネットワークを接続したりする際に、ネットワーク接続機器が必要になる。
Ø リピータ(repeater)[ネットワーク間接続機器]
² 流れてきた信号を、そのまま増幅して隣に流し直す機器で、一番低レベル。
² もし雑音があった場合には、それも増幅して流してしまう。
Ø ブリッジ(bridge) [ネットワーク間接続機器]
² 流れてきた信号を、データリンク層で解釈して、隣に流す機器。
² つまりMACアドレスを見て通信を行い、雑音などはこの時点で除去される。
Ø ルータ(router) [ネットワーク間接続機器]
² リピータ、ブリッジは、同じセグメント(同じIPアドレスネットワーク体系)におけるネットワーク接続に用いられる。これに対して、ルータは、違うネットワークセグメント(IPアドレス体系)間で接続する機器である。
² ネットワーク層における中継を行うもので、パケットをどのネットワークに橋渡しするのか経路情報に基づいて判断する機能を持っている。
²
ルータは、異なるセグメントを接続するものであるので、各々の足にそれぞれのIPアドレス体系のIPアドレスを有する。つまり、二つのネットワークを接続するルータの場合、足が二つあるので、必ずIPアドレスは二つ必要となる。
一方リピータ、ブリッジは、データリンク層以下なのでIPアドレスを有する必要はない。管理上IPアドレスを有するとしても、機器に一つのIPアドレスとなる。
Ø ハブ(HUB)
² HUBはネットワーク間の接続機器ではなく、複数の端末を接続するケーブルを集約して接続する機器で、「集線装置」とも呼ばれる。最近では通常HUBというと、10/100BaseTのスイッチングハブを指すことが多くなってきた。
² HUBも色々な分類ができ、単なるリピータハブ、ブリッジングハブや、スイッチングハブなどがある。またSNMPによる管理機能を有するHUB(インテリジェントHUBとも言われる)もある。
² 例えば8台までの端末を接続できるハブは8ポートハブと称する。このうち1ポートは通常ネットワーク接続のために使用することが多い。つまり例えば基幹ネットワークとハブの接続のために使用する。
² またカスケードポートを持つハブがある。これはハブとハブを接続する際に使用する。例えば、最初8ポートハブを導入したが、端末が増えてしまい7台(1ポートはネットワーク接続)以上になってしまった場合に、カスケードポートと別に新しく用意したHUBとを接続して使用することができる。但し、HUBのカスケード接続には、段数が決められており、無限段階に接続できるわけではない。10Baseでは4段以上をまたぐ端末間アクセスは理論上できなく、100Baseでは2段以上である。
² スタッカブル/スタッキングHUBという種類のハブがある。これはカスケード接続しなくても、特殊な方法でHUB同士を接続できる種類のHUBである。
²
ダムハブ/スイッチングハブ;単なる100BaseTのHUB(100Mダムハブ)はリピータハブであり、異なる速度の例えば10BaseTの機器を接続できない。しかし10/100MのスイッチングHUBの場合は、どちらでも接続して利用できる。スイッチングハブはブリッジングハブとして機能し、ハブ内の2ポートにおいて効率的な通信が可能となる。
● LAN間接続(WAN構成の接続)
Ø 離れた場所のLAN同士を接続し、WANを構成したり、インターネットと接続するなどの場合、接続方法は原則は同様である。
Ø 通常のLAN間接続と違うのは、LAN間である。場所が離れていることもあり、当然ネットワークケーブルを延ばすことはできない。そこで、LAN間に別の一つのネットワークセグメントを設ける。
Ø LAN間のネットワークでは、物理配線として専用線などを用いる。専用線にも色々な種類があるが、電話のように遠くまでデータを届けることができ、スピードにあった品質を保てればよい。よってある程度高速な回線とする場合には、デジタル回線を使用する。
Ø LAN間を接続する機器は、リモートルータと呼ばれる種類のルータを用いるのが一般的である。
Ø ルータは性質上例えば複数のイーサネットの足を持つものであるが、リモートルータは、ある足はイーサであるが、ある足はリモート回線用の足である。リモート側の足は、回線上にデータが乗せられるように、モデムのようなものを接続して使用する。
※確認項目
(1) イーサネットで1本のネットワークが張られている。ここにTCP/IPではない例えばWindows特有のプロトコルなどを使用することはできるか?それはなぜかを明記して記せ。
(2) スイッチングHUBとリピータHUB(ダムハブ)の違いを述べ、どのような場合(用途、構成など)にスイッチングHUBを用いたらよいのかを述べよ。
(3) 新しい事業所(1フロアから成る)を開設した。ここでは営業と開発及び総務の3部門から構成される。各々10名程度の人数で、各自1台のコンピュータを持つ。事業所内LANを設置する場合、どのようなネットワーク構成が考えられるか。構成や各機器を用いる理由などを必ず付記せよ。なお、全て10Mbpsでなるべくならば安価なものがよいとせよ。また様々な想定が必要な場合は、各自で想定して明記すればよい。
(4) 新しい事業所(1フロアから成る)を開設した。ここでは営業と開発及び総務の3部門から構成される。各々10名程度の人数で、各自1台のコンピュータを持つ。事業所内LANを設置する場合、どのようなネットワーク構成が考えられるか。構成や各機器を用いる理由などを必ず付記せよ。なお、端末は10Mbpsと100Mbpsが混在するものとし、なるべくならば安価な構成がよいとせよ。また様々な想定が必要な場合は、各自で想定して明記すればよい。
(5) 新しい事業所(3フロアから成る)を開設した。ここでは営業と開発及び総務の3部門から構成され、各々のフロアを独占する。各々100名程度の人数で、各自1台のコンピュータを持ち、更に各々の部門でサーバを有する。事業所内LANを設置する場合、どのようなネットワーク構成が考えられるか。構成や各機器を用いる理由などを必ず付記せよ。なお、端末は10Mbpsと100Mbpsが混在するものとし、なるべくならば安価な構成がよいとせよ。また様々な想定が必要な場合は、各自で想定して明記すればよい。
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