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モード展開との比較(数値例、デモ)
導体曲面を伝搬する回折界の特性を検討する目的で、
導体円筒による回折界の高周波近似
3.1について検討する。
半径
の完全導体円筒に
方向から電界が円筒の中心軸と平行な
平面波が入射した場合の電界分布は
式(2.3)で
と置き換え、
と置いて
ハンケル関数の漸近展開
を用いた後、円筒中心への入射界
で規格化して得られる:
 |
(3.10) |
ただし、
である。
また、
 |
(3.11) |
を意味する。
上式を変形すると、
と書き換えられる。
ここで、ベッセル関数の性質より
なる関係が成立するので
なる関係が得られる。
したがって、
と表すことができる。
上式をWatson変換により積分表示すると、
と表される。
ただし、
を意味する。
図 3.5:
積分路
(Watson変換)
|
ここで、
なる関係より、
と表すことができて、
と変形できる。
ただし、
 |
(3.12) |
である。
この式の積分路に
を付け加えて
の下半平面で閉じることができれば、
右辺の積分は
での
被積分関数の特異点の周りの積分に分解できる。
式(3.12)の被積分関数は特異点として1位の極のみを持つので、
この極の留数の和で積分を評価することができる。
図 3.6:
複素
平面の下半平面に閉じた積分路
|
被積分関数の極を求めると、
より、
であるから、ハンケル関数の零点を
と表すことにする。
このとき、
となる。
この式の各項は
なる因子を持つことから
が実軸から離れると急速に減衰する。
したがって、この値は実軸に最も近い極の留数のみで近似することができる:
 |
(3.13) |
このハンケル関数の最初の零点は
に存在するので、
を利用して、Airy関数
の零点で近似できる。
Airy関数の最小の零点を
と表すと、
 |
(3.14) |
と近似できる。
の場合に
が成立するので、
でのハンケル関数
の漸近展開
より、
 |
(3.15) |
と近似することができる。
したがって、式(3.13)は、
![\begin{displaymath}
F(\phi)
\simeq
\frac{\pi j}{\left.\frac{\partial}{\partia...
...}(ka)
\sqrt{\frac{2j}{\pi kR}}e^{-j[kR + \nu_1(\phi-\theta)]}
\end{displaymath}](img546.png) |
(3.16) |
と表される。
ただし、
である。
以上より、
において、
は負の虚数部を持つので、
が大きくなると指数関数的に減衰する、
したがって、
と近似できる。
ただし、
を意味する。
図 3.7:
円筒導体による回折界(creeping wave)
|
図より、
 |
(3.21) |
は曲率半径
の完全導体円筒による回折界の回折係数を表す。
ただし、
はAiry関数の零点
を用いて
と表される。
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T.Kinoshita
平成15年6月18日