自動運転支援システムのための走行環境認識

 

自動運転とは運転者の認知や判断・運転操作を制御システムに置き換えるもので,従来の安全運転支援システムとは全く異なり,交通安全の枠組みを変えるものとして,自動車産業界・サービス事業界・輸送事業界などから注目を集めている.Deep Learningを用いて普通の歩行者と危ない歩行者を識別する.本研究ではDeep Learning用ライブラリから出力された結果を元に,Semantic Segmentaiton手法を用いてセグメンテーションされた画像で歩行者の位置情報を正確に理解し,歩行者が歩道上か車道上のどちらにいるのかを識別して歩行者の危険度を推定した.

マルチバンドカメラを用いた生体認証

 

生体認証は私たちの生活に広く普及している.身近なものとしては,近年発売されたスマートフォンの多くには指紋認証機能が搭載されており,ロック解除などに用いられている.本研究では生体認証のうちの静脈認証に注目し,認証を行うための手法として一般物体認識に用いられる手法を使った.具体的には,近赤外線カメラを用いて手の甲の静脈を撮影し,複数のテクスチャフィルタバンクをかけて特徴を抽出,一般物体認識の手法を用いて個人の識別を行う.識別の結果から用いる特徴量の種類や特徴ベクトルの次元の大きさによる精度を比較した.

視線追跡装置を利用した視線分析と集中度に関する研究

 

人間の集中度というものは個人的に様々であり,集中度を評価することは難しいとされている.年齢や眠気などといった身体的要因や,運転中の脇見や勉強中のスマートフォン操作,複数の作業を同時に行うなどといった外部的要因により人間の集中力は低下する.集中力の低下は作業効率を下げるだけではなく様々な事故の要因にも繋がってくる.一方,昨今の教育分野では授業中にPCやタブレット等を使用した講義が増えてきており,教育環境の変化が大きく変わってくる.そのような教育環境の中では講師が注目指示を与えたときに,受講者がきちんと指示の場所を集中して見ているかを判断し評価することが大事になっている.本研究では視線追跡装置を用いて,指示を与えた実験者の視線を分析及び解釈し,出された指示に集中して見ていたかを客観的に評価する方法を提案した.

空間情報を用いたロボットの物体認識

 

人々の生活に身近なロボットとしてはSoftBankから販売されているPepperなどが挙げられる.また,Willow Garage社の開発するPR2という全方位移動双腕ロボットは家の中を動き回り,様々な家事をするというロボットである.人にとって難しい作業,あるいは単調な作業を手伝ってくれるロボットは人の生活に密着している.ロボットが自立的に動くためには床だけでなく家の中の家具の配置や家の構造などがどのようなレイアウトになっているかを理解する必要がある.レイアウトの認識が実現されると,家庭内だけでなくより広いホテルのロビーや大型商業施設などでもロボットが人を手伝うなどの活躍の場が広がると考えられる.一方でAR(Augmented Reality)の技術も進化している.ARは拡張現実とも呼ばれ,実際にある風景に対しバーチャルなものを重ねてコンピュータにより表示させる.ARの用途はエンタテイメントから医療など幅広い分野に応用されている.このARのプラットフォームのひとつにGoogleが開発するTangoというものがある.本研究ではレイアウト認識に注目し,リアルタイムに地図の作成をすることのできるTangoが搭載されたファブレットを用いて屋内空間のレイアウトを認識し,画面上に表示する.作成したレイアウトを保存し,呼び出せるようにすることで起動した位置に関わらず,自身がレイアウト上のどこにいるかを認識できるアプリケーションを作成することを目的とした.