波の伝搬

音は振動

音が出るものは、すべて振動している。弾力と質量のあるものであれば何でも振動する。バネでぶらさがった重りを考えてみよう。

このような重りの運動方程式は、以下のようにあわらせるのだった。

式1の画像

そしてこの方程式を解くと振動の方程式が導かれるのだった。

このように、弾力と質量のあるものはすべて振動するから、身の回りには音が出るもので満ちあふれている。

空気には弾力と質量がある

こうして発生した振動は、空気中を伝わる。どうして音が空気中を伝わるかを考えてみよう。

風船のように空気が入ったものは、弾力がある。また空気には重量もある。

空気の質量を確認する方法は、たとえば「風船の質量」などでぐぐってみよう。

風船の質量についてぐぐる

空気を伝わる振動

空気中では空気が音を伝えている。その他、振動を伝えるものがあれば音は伝搬する。

空気は弾力があって重量がある。振動を与えるとどうなるかを考えてみよう。このような動きをするだろう。

波の方程式

このような振動がどう伝わるか、計算で正確に求める方法は、高校の物理ですでに学習したことがあるだろう。

空気中の空気の移動量(変位)をu, x方向の位置をx, 時間をtとすると、だいたい以下のような形の方程式が書けることを習ったはずだ。覚えているだろうか?

式2の画像

この方程式を解くと、解として平面波をあらわす進行波が求められるのだった。

偏微分方程式の参考 -> これで解決!大学数学 偏微分の巻

さらに詳しく勉強したい人へ(講義では割愛)

音は近似解

以上のように、音は進行する波(進行波)と考えられる。これは便利なモデルだが、あくまで近似であることも覚えておこう。高校生の物理学ではこのような「進行波」解だけを学ぶが、電気、電子、機械、建築学科など、「物」をあつかう工学では、波動についてはもうすこし詳しく学ぶ。具体的には、ほぼ全員が工学基礎物理で「流体力学」を学び、音というものがベルヌーイの方程式の近似解であることを学ぶ。ベルヌーイ方程式で圧力、変位がきわめて小さく、縦波だけが伝搬していく、という近似を行ったのが上の式になる。

線形近似はあくまで近似で、条件からずれると成り立たなくなる。たとえば、コンサートホールのどの位置でどんな音が聞こえるか、については近似式で十分だ。フルートがなぜ鳴るか、自動車が走行する場合の風切音がどのようにして発生するか、スーパーウーファーやスーパートゥイーターの音を計算したい場合、パラメトリックスピーカの音がなぜ聞こえるか、を理論的に説明したい場合は、流体力学の方程式まで遡って計算する必要がある。

さらに詳しく学びたい人は

日本音響学会編 音のなんでも小辞典

古井貞熙, 新音響・音声工学,近代科学社, 2006

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