デジタル信号処理と符号化
デジタルという言葉は工学書と、一般で使われる場合に若干違う意味で用いられる。
(1) デジタル=0と1で表すこと(一般的な意味)
(2) デジタル信号処理=サンプリングされた信号 (工学書での意味)
工学の世界では、「サンプリング」を行って元の信号を「サンプルの列」で扱うことを「デジタル信号処理」と呼ぶ。工学関係の書籍で「デジタル信号処理」という用語が使われる場合は間違いなくこちらの意味だ。このような形の信号は、厳密にいえばまだ0と1のデータには変換されていない。
それでは、音声信号を0と1のデータに変換する処理について、どのように呼ぶべきだろうか? 残念ながらあまり確立した用語がないが、この授業では「符号化」と呼ぶことにする。
符号化の代表例はPCMだ。しかし、PCMは様々な符号化の一種にすぎない。よく使われている方式だけで、リニアPCM、非線形PCM, DPCM, ADPCM, SB-ADPCMなど様々な方式がある。また、AACやMP3なども「符号化」だ。